哺乳類で唯一!ヒトの持つ特殊な走力とは?

ヒトは走るのが遅い動物です。
小さなイヌやネコに追いつけないことからも分かります。

ところが他の動物にはない『走力』があります。それは何でしょうか。

ヒトが道具を使い始めたころ、ヒトは狩りを始めます。
ですが、その頃の道具は石や棍棒のような原始的なものでした。
そんなものでヒトは動物をしとめられるのでしょうか。

実はそれが可能になる狩猟方法があります。
それはただひたすらに追い続ける、という狩猟方法です。

まずヒトが大きな動物を狙って追い始めます。
もちろん、動物の方が速いので逃げられてしまいます。
逃げたあと動物は日陰で浅く速く呼吸することで体温を下げようとしますが、
ヒトは足あとをたどってただひたすら追いかけて、
動物の体温が下がりきる前にまた走って逃げださせます。
これを繰り返すことで動物の体温はどんどん上がっていき、
いずれ熱中症で倒れてしまうのです。あとは石や棍棒で十分ですね。

このような狩りができる理由は、もちろんヒトの体にあります。

動物は呼吸で体温を下げますが、ヒトは動物のように毛がなく、
全身から汗をかくことで体温を効率よく下げられます。

腰から足につながる筋肉と腱は、
バネのようにエネルギーの蓄積と放出ができるように発達しており、
非常にコストの低い(カロリーをあまり使わない)走行が可能です。

他にも首を支える靭帯、三半規管、
お尻の大きな筋肉は走行時のバランスを保つために発達しています。

つまり「ヒトは持久走が得意」なのです。

ヒトは「暑いなかマラソンができる唯一の哺乳類」なのです。

僕は持久走が苦手なんですけど、これを知って、
(せっかく進化させてきたヒトの能力を退化させてるみたい……)
とご先祖様に悪いなと思ったので、すこしトレーニングしてみようかな?

▶ 参考:D・E・リーバーマン(著) 塩原通緒(訳)「人体600万年史(上)」(早川書房)