ノミガイという名前の2.5mmほどの小さなカタツムリは、
カタツムリだけあってノロマで移動能力がとても低いのに、
なぜかとても広い地域に分布しています。
その秘密は、どうやらノミガイの天敵・メジロにあるようなのです。
植物が種を遠くまで移動させるのに、
鳥や動物が一役買っていることは皆さまご存知だと思います。
植物は動物に種を食べてもらうためにおいしい果実をつくり、
種ごと食べてもらって、フンとともに種を移動させます。
そう、実はこのノミガイの繁殖地域にいるメジロのフンを調べたところ、
メジロが食べたノミガイのうち14.3%が、
メジロの体内を通ってなお生きていたそうです。
あたかも植物の種のように、鳥のお腹の中で生き延びて、
天敵であるメジロを利用して、広い地域を移動していたのです。
まあ当人(貝)にとってはただ食べられて、
たまたま生き残っただけなのかもしれませんが、
生息域拡大に効果があったことは事実です。
現在見つかっている世界最小のカタツムリは1mmに満たないような小さな種です。
生息域は狭いと推測されていて、
その小ささから生きている個体が見つけにくいようですが、
意外とそばに落ちている動物のフンにこっそり隠れているかもしれませんね。
▶ 参考:参考:堀川大樹「クマムシ博士の「最強生物」学講座」(新潮社)
NATIONAL GEOGRAPHIC「世界最小のカタツムリを発見、大きさ1ミリ未満」http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/100600276/